わたしは中国語を20年以上学習しました。中国語が難しく感じるのは、ネット上の俗語(スラング)が、SNSだけに留まらず、ニュースなど幅広く用いられていることが一つ上げられると思います。
中国人がメールを使わず、チャットで取り引きをしているのを見ていて感じましたが、公私をそれほど使い分けない文化は顕著です。SNSが流行りだすと、新語やスラングはますます多くなりました。日本でネット用語は若者言葉として一蹴されますが、中国では年配者へまで浸透する傾向が強いと感じます。
以前はアルファベットは皆無に等しく、外来語などすべてを漢字に置き換える文化でしたが、いまでは多くのアルファベットが散見されます。政治的な背景もあり、表現の仕方が多様になったことで隠語も増え、次々と新語が現れるのですが、定着するものもあれば数年するとほとんど使われず死語となる単語も千万無量です。
辞書ではカバーしきれなく限界があります。逆にいうとSNS上では辞書のすべてを知っても理解できない文章がたくさん存在しています。それゆえに、「辞書に載っていない中国語」の必要性を以前から感じていました。わたしも勉強しながら整理していますが、皆さんのお役に立てば幸いです。
中国での思い出
はじめて中国に行ったとき、日本のSONYの回転式の携帯電話端末を出すと、中国人に「それは携帯電話ですか?」と必ず聞かれました。中国語の電子辞書も出始めのころで、使っていると「小さいパソコンですか?」と見知らぬ人からもよく尋ねられました。
当然、スマホはまだないし、信用社会でない中国ではクレジットカードを持っている人は、ほとんどいませんでした。なので、もちろんQR決済などないし、現金でみんな買い物をしていました。すると、しばらくしてあることに気づきました。偽札がよく出回っていることです。少額の10元、20元札は特に多く、よく掴まされていました。
しかし、その偽札で買い物をしても、特に財布を持たない人が多いため、皺くちゃになった偽札は流通しています。結局、流通すればそのお札には価値が生まれ、偽札かどうかは関係ありません。流通するイコール本物であるということです。
言語も似たようなものだと感じます。中国では日本とは比べものにならないほど新語がどんどん生まれます。はじめは見たり聞いたりして、なんか違和感がある単語でも、使う人がだんだん増えてSNSなどでその単語が流通すると、言葉に威力が増してきて自然と馴染んできます。一方、使う人が少なくなるとぴたっと死語となります。
そんな意味で独特の言い回しが多い中国語は、特にチャット、SNSやライブ配信などで意味やニュアンスを理解するというのは、HSKなどの資格とはまた違う難しさがあると感じます。
中国語マスターへの近道
外国語の習得は、インプットとアウトプットのバランスが重要です。今はバイリンガル、トリリンガルどころか、数カ国語を流暢に話す言語スペシャリストをユーチューブなどで見かけます。そのような人はもちろん語学の才能もあるのでしょうが、間違いなく相当の努力をしており、更にインプットとアウトプットのバランスが取れていると思います。
アウトプットという会話の機会が増えることで、覚えた単語やフレーズが生きたものになります。また、アウトプットすることで、日本語にない使い方があることにも気づかされます。
例えば、中国語で「有没有」という言い回しがありますが、会話をしていると「去不去」(行く行かない?)、「吃不吃」(食べる食べない?)など独特の使い方をよくしていることに気づかされます。日本語では、「行く?」「食べる?」と聞くのが一般的です。当たり前のことですが、言い回しをそのまま覚えてインプットするのです。
このように相手の話す言語を肌で感じて覚え、子供がちょっとずつ言葉を発して会話をしていくように、少しずつ単語やフレーズを覚えていくしかありません。つまりは、どんな外国語の達人と感じる人でもこれの繰り返しをしているだけなのです。言語習得は、絶対にこれ以外にマスターする方法がないと断言できます。
そのため、ある程度の勉強をしたら、すぐにアウトプットを意識するのが早く習得するコツだと感じます。いまは世界中の人と会話を楽しめる無料で使えるアプリもあるため、たくさん会話して聞いて、使って覚えることが重要です。少し難しい中国語を聞きたいなら、中国語の字幕が付いた動画を見ることもオススメです。字幕のついたニュースもネット上にたくさん存在しています。
もっと初心者向きには、中国人の友達をつくるのがよいでしょう。次に会うときにこのフレーズを使おうと思いインプットすることで、より生きた言語が習得できます。そういった機会がない人でも、アウトプットに最適なサービスもあるため活用すればよいと思います。